まごわやさしい完全ガイド 食事で整う健康習慣

健 康

はじめに

「健康のために食事を見直したい」と思っても、栄養の話は難しく感じやすいものです。けれど、毎日の食卓づくりは、実はもっとシンプルに考えて大丈夫です。農林水産省の食生活指針では、主食・主菜・副菜を基本に、多様な食品を組み合わせて食べることが勧められています。また、厚生労働省と農林水産省による食事バランスガイドでも、何かひとつの食品だけに偏るのではなく、料理の組み合わせで全体のバランスを整える考え方が示されています。 

そこで覚えておきたいのが、「まごわやさしい」という食育の合言葉です。これは、まめ、ごま、わかめ、やさい、さかな、しいたけ、いもの頭文字を並べたもの。毎食きっちり全部そろえるためのルールではなく、「最近、何が足りていないかな」と振り返るための目印として使うと、とても実践しやすい考え方です。実際、各地の食育資料や栄養教育でも、バランスのよい食事を思い出すための言葉として紹介されています。 

この考え方が今あらためて役立つ理由もはっきりしています。農林水産省によると、20歳以上の1人1日当たりの野菜摂取量の平均は258.7gで、目標の350gを大きく下回っています。さらに、厚生労働省のe-ヘルスネットでは、食物繊維の摂取量が目標量より少ない状況が続いており、便通だけでなく、循環器疾患や2型糖尿病などの発症リスク低下との関連からも、積極的な摂取が望まれると整理されています。つまり、現代の食生活では「足りないものを埋める視点」がとても大切で、そのヒントとして「まごわやさしい」は優秀なのです。 

ちょこぶら
ちょこぶら

まごわやさしい?

栄養満点の語呂合わせなんだ!!

この記事はこんな方におすすめ

☑︎健康的な食生活を送りたいけれど、何を食べればいいか分からない人

☑︎栄養バランスを整えながら、毎日の献立を無理なく改善したい人

☑︎家族や自分の健康を食事からサポートしたい人

ま:まめ

「ま」は、豆類と大豆製品です。大豆は、文部科学省の食品成分データベースでは、乾燥黄大豆100g当たりでたんぱく質33.8g、食物繊維総量21.5g、葉酸260μgを含みます。さらに厚生労働省も、大豆や大豆由来食品は良質なたんぱく質源であるだけでなく、カルシウムなどにも富む重要な栄養源だとしています。筋肉や体の材料になるたんぱく質を補いながら、食物繊維やミネラルもとりやすい、まさに日常使いしやすい食材です。 

豆類の魅力は、「特別な料理をしなくても足せること」にあります。納豆を朝食に加える、冷ややっこを一品にする、みそ汁に油揚げを入れる、サラダに蒸し大豆を混ぜる。これだけでも十分です。忙しい日は、まず「豆腐・納豆・厚揚げ・高野豆腐のどれか一つが入っているか」を見るだけで、食事の質はぐっと上がります。肉や魚が少ない日でも、豆類が入ることで主菜の不足を補いやすくなります。 

ご:ごま

「ご」は、ごまやナッツなどの種実類です。いりごまは100g当たり、たんぱく質20.3g、脂質54.2g、カルシウム1200mgを含みます。アーモンドには食物繊維総量10.1gが含まれ、ビタミンEも豊富です。つまり、ごまやナッツは「少量でも栄養の密度が高い」食材だといえます。 

ただし、ごまやナッツは体によいからといって大量に食べればいいわけではありません。脂質が多くエネルギーも高いため、毎日続けるなら「ひとつまみ」「小袋ひとつ」「小さじ一杯をふりかける」くらいがちょうどいい感覚です。おすすめは、ほうれん草のおひたしにすりごま、みそ汁や和え物にいりごま、間食を菓子パンから無塩ナッツへ少し置き換えること。量を盛る食材ではなく、食卓の栄養を底上げする“名脇役”として考えると続きます。 

わ:わかめ

「わ」は、わかめをはじめとする海藻類です。食事バランスガイドでは、野菜・いも・海藻・きのこを主材料とする料理が「副菜」に位置づけられています。海藻は、食物繊維やミネラルを補いやすい食材で、焼きのりや昆布にも食物繊維が多く含まれています。普段の食事では量が少なくなりがちなため、みそ汁、酢の物、サラダ、和え物などで少しずつ重ねていくのが現実的です。 

海藻は健康的なイメージが強い一方で、「たくさん食べれば食べるほどよい」と考えないことも大切です。たとえば、ひじきについて食品安全委員会は、通常の日本の食文化に基づく摂取の範囲で健康への悪影響が生じたとの報告はないとしつつ、特定の食品に偏らず、さまざまな食品をバランスよく食べることが重要だとしています。乾燥ひじきは一般的な調理どおりにしっかり水戻しして使い、海藻も「毎日少しずつ、種類を分けて」が基本です。 

や:やさい

「や」は、野菜です。これは「まごわやさしい」の中心と言ってもいい存在です。農林水産省の「野菜を食べようプロジェクト」では、20歳以上の野菜摂取量平均が258.7gで、目標の350gに届いていないことが示されています。野菜はビタミン、ミネラル、食物繊維、機能性関与成分を含み、十分に摂取することが健康の保持増進に役立つとされています。 

野菜のよさは、「一種類で万能」ではなく、「それぞれ役割が違う」ことです。たとえば、にんじんはβ-カロテン当量が8600μg、ほうれんそうは葉酸210μg、ブロッコリーはビタミンC140mgを含みます。だからこそ、緑黄色野菜と淡色野菜、葉物と根菜、加熱用と生食用を組み合わせることに意味があります。赤、緑、白、黄色、紫と、色を散らすように食卓を整えると、結果として栄養も偏りにくくなります。 

実践のコツは、「最初から350gを目指さない」ことです。まずは毎食あと一皿、あるいは一日であと70g前後を足す感覚で十分前進です。冷凍ブロッコリー、ミニトマト、カット野菜、にんじんしりしり、具だくさんみそ汁など、手間が少ない形で野菜を増やせば、忙しい日でも続けやすくなります。外食やコンビニでも、主菜だけで終わらせず、副菜を一つ足す習慣がとても有効です。 

さ:さかな

「さ」は、魚介類です。食事バランスガイドでは、魚は主菜の代表的な材料のひとつに位置づけられています。さらにe-ヘルスネットでは、n-3系脂肪酸であるEPAやDHAは、抗炎症作用や神経機能の維持、免疫応答などに関わると説明されており、魚介類から適量を摂取することが健康の保持増進に重要だとされています。 

魚は「焼き魚を毎回作らないといけない」と思うと続きません。けれど、現実にはもっと柔軟で大丈夫です。まさばは100g当たりたんぱく質20.6gを含み、魚はたんぱく質源としても優秀です。さば缶、いわし缶、鮭フレーク、しらす、ツナ水煮などの常備品を使えば、料理の負担を増やさずに魚を取り入れられます。サラダにツナ、冷ややっこにしらす、味噌煮缶を野菜と合わせるなど、「魚を一皿で完結させなくていい」と考えるとハードルが下がります。 

一方で気をつけたいのは、魚そのものより「味つけ」です。干物、練り製品、味つき缶詰、佃煮などは塩分が高くなりやすいため、食生活指針が示すように食塩は控えめを意識したいところです。魚を増やしたいときは、塩分の高い加工品ばかりに偏らず、水煮缶や薄味調理も上手に取り入れると、よりバランスがよくなります。 

し:しいたけ

「し」は、しいたけをはじめとするきのこ類です。きのこは低エネルギーで、食物繊維を補いやすい食材です。生しいたけには食物繊維総量4.9g、まいたけには3.5gが含まれ、まいたけのエネルギーは100g当たり22kcalです。量を増やしても食事全体の重さのわりにエネルギーが上がりにくく、満足感を出しやすいのが大きな利点です。 

きのこ類は、脇役にしやすいのも魅力です。みそ汁、炊き込みご飯、炒め物、鍋、パスタ、スープ、あんかけなど、和洋中どの料理にもなじみます。特に「野菜がちょっと少ないな」「主菜の量は十分だけど副菜が寂しいな」という日に、きのこを足すと食卓が整いやすくなります。冷凍保存しやすい点も、忙しい家庭には大きなメリットです。 

い:いも

「い」は、いも類です。じゃがいも、さつまいも、里いも、山いもなどは、炭水化物を含むエネルギー源でありながら、野菜とはまた違う栄養の取り方ができる食材です。たとえば、じゃがいもには100g当たりビタミンCが28mg、さつまいもには29mg、里いもには食物繊維総量2.3gが含まれます。主食ほど重くなく、副菜だけでは物足りないときに、ほどよい満足感を足してくれるのがいも類の強みです。 

なお、元の原稿にあったこんにゃくは、原料はこんにゃくいもですが、栄養の特徴は一般的ないも類とはかなり異なります。板こんにゃくは100g当たりエネルギー5kcal、食物繊維総量2.2gで、でんぷんをしっかり補う食材というより、低エネルギーで食物繊維を加えやすい食材です。つまり、「いも類の主役」はじゃがいもやさつまいも、里いもで、こんにゃくは“補助選手”として考えると整理しやすいでしょう。 

まごわやさしいを続けるコツ

ここまで読むと、「毎日七つ全部は無理」と感じるかもしれません。でも、実際はそうではありません。大切なのは、完璧にそろえることではなく、偏りに気づいて修正できることです。食事バランスガイドも、料理の組み合わせ全体で考える設計になっています。今日は魚がないなら明日に回す、今日は野菜が少なかったから明日は具だくさんスープにする。そのくらいの感覚で十分長く続きます。 

次に意識したいのは、「足す」より「置き換える」です。お菓子を無塩ナッツに、カップ麺だけの昼食をサラダと豆腐つきに、白いごはんだけの朝食を納豆ごはんとわかめのみそ汁に。生活を大きく変えなくても、選び方を少しずつずらすだけで、食事の質は上がります。食生活指針でも、手作りと外食・加工食品を上手に組み合わせることが勧められており、現代的な生活に合わせて無理なく整える考え方が前提になっています。 

もうひとつ大事なのは、常備品の力を借りることです。納豆、豆腐、いりごま、焼きのり、乾燥わかめ、さば缶、きのこ、じゃがいもやさつまいもは、比較的使い回しやすい食材です。冷蔵庫や乾物ストックに「まごわやさしい」の代表選手がいくつかあるだけで、献立は格段に組みやすくなります。献立に迷ったら、「今日はこの七つのうち何が入っている?」と一度だけ確認してみてください。その一手間が、食卓の質を静かに底上げしてくれます。 

こんな一日なら始めやすい

たとえば朝は、納豆ごはんにわかめのみそ汁、仕上げにごまを少しかけるだけでも、「ま・ご・わ」が入ります。昼は、鮭おにぎりに野菜たっぷりのスープ、きのこ入りの副菜で「や・さ・し」が足せます。夜は、豆腐入りの鍋に魚やきのこ、青菜、いも類を合わせれば、一日全体ではかなりバランスが整います。すべてを豪華にする必要はなく、主役を一品、脇役を二〜三品重ねる感覚で十分です。 

まとめ

「まごわやさしい」は、昔ながらの和食の知恵を、現代の暮らしに合わせて思い出しやすくした合言葉です。主食・主菜・副菜を基本に、多様な食品を組み合わせるという国の食生活の考え方ともよく合っており、豆、種実、海藻、野菜、魚、きのこ、いもを意識することで、たんぱく質、食物繊維、ビタミン、ミネラルを無理なく散らしてとりやすくなります。 

大切なのは、がんばりすぎないことです。毎食完璧より、毎日少しずつ。足りないものに気づいたら、次の食事で一品足す。その繰り返しが、将来の健康を支える食習慣になります。「メインはどうしよう」「もう一品ほしい」と迷ったときこそ、まごわやさしいを思い出してください。食卓は、品数の多さよりも、続けられるバランスのよさで整います。 

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